204

金沢漆器(かなざわしっき)

指定区分 国指定 伝統的工芸品
品目 金沢漆器(かなざわしっき)
制作者 中野 孝一(なかの こういち)
(重要無形文化財[蒔絵]保持者)

作品解説

作品名「飛翔」(ひしょう)

穏やかな日差しの中、二羽のカモメが凪の海を悠々と羽ばたく姿を表している。蒔絵技法とともに白いカモメを卵殻で仕上げることで、緻密な技法を大胆な構図の中に表現している作品である。

金沢漆器 歴史と特色

歴史

加賀蒔絵として有名な金沢漆器は、1630年頃、加賀藩3代藩主前田利常が美術工芸の振興に力を入れ、桃山文化を代表する高台寺蒔絵の巨匠五十嵐道甫を細工所の指導者として招き、技法を伝えたことが始まりである。
以後、五十嵐家一門は、歴代藩主に仕えるとともに技術を受け継いできた。また、道甫の門人といわれる清水九兵衛や印寵蒔絵の名工椎原市太夫が江戸から招かれ、加賀蒔絵の基礎をつくった。このように、王朝文化からの伝統を受け継ぎ、藩によって育成された金沢漆器は優美な貴族文化に武家文化が加わった特有のものである。

特色

室内調度品、茶道具などの一品制作が特徴である。指物、挽物、曲物などで造った木地素材に、下塗だけでも布着せ、漆下地など数十工程を経る本堅地塗である。上塗は無地呂色[ろいろ]磨きや花塗仕上げが主で、塗立てや金沢独特の紗の目塗など高雅な変わり塗がある。
蒔絵は平蒔絵・高蒔絵・研出蒔絵・肉合研出蒔絵など高度な熟練を要する繊細な技法を用い、これに螺鈿[らでん]・平文[ひょうもん]・卵殻[らんかく]などの技法も使われ加飾効果を高めている。

主な生産者

金沢漆器商工業協同組合

〒920-0918 石川県金沢市尾山町9-13
TEL: 076-263-1157 FAX: 076-263-1158